今日の診療
治療指針

早産児の栄養管理
nutritional management of preterm infants
水野克己
(昭和大学主任教授・小児科学)

ニュートピックス

・exclusive human milk-based diet(EHMD):人乳由来母乳強化物質を母乳またはドナーミルクに加える完全人乳栄養(EHMD)により超早産児が罹患しやすい慢性肺疾患,未熟児網膜症,後天性敗血症が減るという報告もあり,呼吸管理,輸液管理,眼科検査を短縮(または減らす)することができ,入院期間も短縮することが期待されるためNICUスタッフの働き方にもメリットがある.日本では人乳由来母乳強化物質を薬剤として承認する動きがあり,現在,多施設共同試験が行われている.EHMDを取り入れられれば,世界のトップを走る日本の新生児医療で,超早産児の予後がさらに改善されること,医療費削減につながることが期待される.

ポイント

・出生後も胎児蓄積に相当する栄養を与えられるよう,生後早期から静脈栄養・経腸栄養を開始するearly aggressive nutrition(EAN)が栄養戦略の中心となる.

A静脈栄養

 小児用アミノ酸輸液製剤(プレアミン-P)を通常用いる.出生当日は2~3g/kg/日のアミノ酸から開始する.0.5~1.0g/kg/日ずつ増量し,3.5~4.0g/kg/日を目標にする.出生当日はブドウ糖とアミノ酸液(±グルコン酸カルシウム)輸液組成とする.グルコース投与量は4~6mg/kg/分から開始し,血糖値をみながら徐々に増量する.

 必須脂肪酸欠乏に陥らないように,生後24~48時間あたりから脂肪乳剤を0.5~1.0g/kg/日より開始し,3g/kg/日まで増量する.脂肪として非蛋白エネルギーの30~50%を与えられるようにする.

1.体重管理

 最大体重減少率は10~15%以内を目標にする.経静脈的水分量は60~80mL/kg/日より開始するが,出生後数日間は水分摂取量にかかわらず尿量が急速に増加し水分出納が負となることが多い.

2.検査

 BUN,

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