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小児

予防接種
immunization in childhood
宮入 烈
(浜松医科大学教授・小児科学)

ニュートピックス

・2021年,予防接種法が一部改正され,新型コロナワクチンは「努力義務あり接種勧奨ありの臨時接種の特例」として位置づけられた.

・2022年4月からヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨が再開された.

A予防接種の意義

 予防接種とは,ワクチンを用いて感染症に対する免疫を付ける行為を意味する.予防接種を行う主たる目的は個人を感染症やその重症化から守ることであり,次いでこれを幅広く行うことにより集団免疫を確立し疾患の流行を防ぎ,ハイリスク者を守り,さらには疾患の根絶を目指すものである.

B予防接種の制度

 予防接種法に基づく定期接種・臨時接種があり,その実施は定められた細目に基づき行われる.小児期の定期接種はA類疾患に定められ,集団防衛の観点からも努力義務を負うものである.他方,高齢者のインフルエンザワクチンなどはB類疾患に位置づけられ,個人防衛に主眼がおかれ,努力義務も積極的勧奨もない.定期接種の実施主体は自治体であり,通知を受けた対象者は,自治体からの依頼を受けた医療機関・医師のもとで接種を受ける.

 臨時接種は,疾病のまん延予防上緊急の必要があるものに対して実施するものである.通常は臨時接種における実施主体は,都道府県または市町村となっており,接種順位の決定などについて国が関与できる法的な仕組みとはなっていない.新型コロナワクチンについては,法律が改正され,特例的に国が優先順位などを決定のうえ,市町村に対して接種を実施するよう指示できるようになった.

 予防接種関連の有害事象については,予防接種法施行規則第5条に規定されている症状について,因果関係が必ずしも明らかでない場合であっても医師は報告する義務がある.これはワクチンに起因するまれな副反応を集積することによって,シグナルとして検知することが目的である.具体的には独立行政法人医薬品医療機器総合機構(P

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