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学校における感染症の流行と対策(学校保健安全法)
infectious diseases in children at school(the school health and safety law)
清水博之
(藤沢市民病院・臨床検査科診療科部長(神奈川))

A学校保健安全法

 学校は児童生徒が集団生活を営む場であり,伝染性の高い感染症が発生すると瞬く間に感染が拡大しやすく,教育活動に大きな影響を与える.そのため児童生徒や職員の健康の保持増進をはかり,学校における教育活動が安全な環境で行えるように,保健管理に関して必要な事項を定めたものが学校保健安全法である.

B学校において予防すべき感染症

 学校保健安全法には学校において予防すべき感染症を,第1種から第3種に分けて規定し,出席停止の期間の基準などを設けている().

1.第1種感染症

 感染症における1類感染症と,結核を除く2類感染症を規定している.出席停止期間の基準は治癒するまでである.

2.第2種感染症

 感染経路が空気感染や飛沫感染のもので,罹患数も多く,学校において流行拡大しやすい感染症を規定している.出席停止期間の基準は,感染症ごとに定められている.

3.第3種感染症

 学校教育活動を通じ,学校において流行拡大する可能性がある感染症を規定している.出席停止期間の基準は,病状により医師が感染のおそれがないと認めるまでである.第3種感染症に分類されている「その他の感染症」は,感染拡大を防ぐために必要があるときに限り,学校医の意見を聞き,校長が第3種感染症として緊急的に措置をとることができるものである.

C感染症の診断

 感染症診断は必ずしも検査診断だけではない.診察した医師が身体所見や検査結果などから医学的知見に基づき,総合的に判断して診断するものであり,迅速検査を一律に実施する必要はない.同様に,治癒証明書などを要する場合でも治癒の判断に検査は不要である.

D出席停止

 学校保健安全法第十九条に,校長は,感染症にかかっているまたは疑いがある児童生徒の出席を停止させることができると記載されている.出席停止期間は,病原体ごとの感染経路,臨床的な特性,感染性の高い期間などの知見をふまえて定められてい

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