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小児

小児の急性細気管支炎
acute bronchiolitis in childhood
大宜見力
(国立成育医療研究センター・感染症科診療部長(東京))

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GL小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2021

ニュートピックス

・2021年,主要病原体であるRSウイルス(respiratory syncytial virus)感染症のピークが2,3か月早まり,その患者数も例年の2,3倍となった.

治療のポイント

・診断は病歴と身体所見にて臨床的に行い,迅速検査,血液・画像検査はルーチンには必要ない.

・重症呼吸不全,繰り返す細気管支炎様の病態,ウイルス性感染症の徴候を認めない場合,細気管支炎以外の鑑別疾患(気管支喘息,肺炎,百日咳,胃食道逆流,誤嚥,気道異物,先天性気道異常,心不全など)を考慮する.

・支持療法(補液,酸素投与など)が治療の主体である.

・抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体であるパリビズマブ(シナジス)の発症予防効果が確立されている.

◆病態と診断

A病態

・細気管支の急性感染性炎症性疾患であり,閉塞性呼吸器障害が起こる.

・末梢気道に粘液貯留,気管支れん縮が起こり,肺の過膨張や無気肺を起こす.

・2歳未満に多い.

・原因の50%以上を占めるRSウイルスは,以前は冬季に流行していたが,ここ数年は夏季から流行してきている.

・パラインフルエンザウイルス,ヒトメタニューモウイルスなど,さまざまな呼吸器ウイルスが原因となる.

B診断

・典型例では,上気道症状(鼻汁,鼻閉,咳)から,下気道症状(多呼吸喘鳴,呼吸障害)発現へと進展していく.発熱を伴うこともある.

・低酸素血症,呼気性喘鳴,湿性ラ音,呼気の延長を認める.

・呼吸不全の徴候(呻吟,鼻翼呼吸,陥没呼吸)を見逃さないように留意する.

・2日間を超える発熱,非対称性の身体所見,臨床的改善がみられない,高用量酸素療法を有する場合,胸部X線を考慮する.

・ハイリスク患者(免疫不全者,慢性的心肺疾患など),コホート隔離(多床室での集団隔離)が必要な場合,不確かな臨床診断,2か月未満の乳

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