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GL小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017
ニュートピックス
・小児では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は軽症例がほとんどであるが,変異株により小児でも重症化率が高まる可能性があり,引き続き注意が必要である.
治療のポイント
・呼吸状態を含めた全身状態と重症化リスクの有無などから治療の場を判断する.
・年齢に応じて原因微生物は大きく異なる.小児期の肺炎の約65%はウイルス性である.
・細菌性肺炎の治療は,乳児期は肺炎球菌を想定したアモキシシリンもしくはアンピシリン,学童期は肺炎マイコプラズマを想定したアジスロマイシンが第1選択である.
・治療効果は,呼吸器に特異的なパラメーターで評価する.
◆病態と診断
A病態
・肺実質の炎症と定義され,そのほとんどは微生物が下気道に侵入し,免疫反応や炎症が引き起こされて生じる(まれに菌血症の結果として肺炎を生じることがある).
・原因微生物は年齢により頻度が大きく異なり,ウイルス性が最多である.その推定には,年齢と周囲の流行性疾患の情報が重要である.
1.新生児
生後3日以内は経産道感染や子宮内感染による〔B群溶血性レンサ球菌(GBS)やリステリア菌,大腸菌など〕.性器クラミジアによる無熱性肺炎は生後2~3週以降に発症する.性器マイコプラズマやウレアプラズマ属は,極低出生体重児で原因となることがある.
2.早期乳児(生後3か月未満)
ウイルス性(RSウイルスなど)が多い.百日咳菌は新生児期含め無呼吸や肺高血圧を伴い重症化する.
3.乳幼児
4歳以下では,ウイルス性(RSウイルス,ヒトメタニューモウイルス,インフルエンザウイルスなど)が多い.細菌性では肺炎球菌やインフルエンザ菌,モラクセラ・カタラーリスが多い.
4.学童
5歳以降では,肺炎マイコプラズマや肺炎クラミドフィラの頻度が高くなる.それ以外の細菌性肺炎に罹患する頻度は低下する.