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GL小児の咳嗽診療ガイドライン2020
治療のポイント
・詳細な病歴聴取と適切な検査により,原因疾患を特定したうえで,疾患特異的な治療を行うことが原則である.
・診断的治療を行う場合は,単一の疾患を想定して治療薬を選択し,一定の期間で治療効果を評価する.無効の場合は診断を再考することはもちろん,有効の場合も漫然と継続しない.
・コデインリン酸塩は12歳未満に禁忌であり,その他の中枢性鎮咳薬も特異的治療ではないので,咳嗽によるQOL低下が著しい場合を除き,安易に処方しない.
◆病態と診断
A病態
・咳嗽は,胸腔内圧を上昇させたのちに声帯を一気に開放することで,高い呼気流とそれによる気道の振動を生じさせて気道内容物を呼出する運動で,気道内の過剰な分泌物や異物を排除するための生理的防御機構である.
・物理的刺激(喀痰など)と化学的刺激(炎症性メディエーターや刺激性物質など)が咳受容体から求心性神経を介して延髄の咳中枢に伝達されると,ここから遠心性神経を介して,呼吸筋などにシグナルが伝達されて咳嗽を生ずる.
・咳中枢は高位中枢である大脳皮質の支配も受けるので,咳の随意的調節は可能であり,無意識であっても感情などの影響を受ける.
・咳嗽の原因の多くは病的な分泌物増加や炎症であるが,心因もあり得る.また最近は,原因を特定できない慢性咳嗽をcough hypersensitivity syndromeとして,咳過敏状態を基本病態とする疾患概念が提唱され,抗てんかん薬のガバペンチンやプリン受容体のひとつであるP2X3受容体拮抗薬の有効性が報告されている.後者の1つ,ゲーファピキサントは成人の難治性慢性咳嗽に対して保険適用となった.
B診断
・小児の慢性咳嗽の明確な定義はないが,日本小児呼吸器学会の「小児の咳嗽診療ガイドライン2020」では,成人と同様に3~8週間を遷延性咳嗽,8週間以上を慢性咳嗽とす
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