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治療指針
小児

小児の不整脈
arrhythmia in children
瀧聞浄宏
(長野県立こども病院・循環器小児科部長)

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GL小児不整脈の診断・治療ガイドライン(2010)

GL2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン

◆病態と診断

・小児不整脈の代表的な病態と診断について述べる.

A上室性頻拍

・副伝導路を伴う房室回帰性頻拍が最も多く,房室結節リエントリーがその次に続き,これらが小児の上室性頻拍の90%以上を占める.

B心房頻拍

・局所起源であり,異所性自動能,撃発活動が主である.12誘導で正常のP波との鑑別が重要である.

・持続すると頻拍性誘発性心筋症となることもある.

C接合部性頻拍

・いわゆるJET(junctional ectopic tachycardia)は,乳幼児期の先天性心疾患術後に発症するものが多く,2~10%ともいわれる.

・薬物コントロールが難渋し,血行動態に影響を与えることも多い.

D心房粗動

・三尖弁周囲を反時計回りに興奮が回旋するのが通常型で,非通常型では,興奮が三尖弁周囲を時計回転するものや,開心術後に右房の切開創を周回するものもある.

・通常型では,約300/分の粗動波,房室伝導が2:1で心室心拍数が150/分程度となるのが典型的である.

・新生児期や日齢1にみられることがあり,いったん治まると再発しない.

E特発性心室頻拍

・持続性心室頻拍(30秒以上続く)と非持続性心室頻拍がある.非持続性のものは,予後が良好なものが多い.

・特発性心室頻拍では,流出路起源で左脚ブロック/下方軸の波形を示す異所性自動能や撃発活動を機序とする非持続性特発性心室頻拍,左室起源で右脚ブロック/左軸偏位の波形を示すリエントリーを機序とする持続性特発性心室頻拍が代表的である.

F特発性多形性心室頻拍,torsade de pointes,心室細動

・QT延長を伴う多形性心室頻拍は,Tdp(torsade de pointes)とよばれ,QRSが捻れながら続いているような心電図波形である.有効な心拍出がなく

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