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GL小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(2013)
治療のポイント
・習慣性便秘が最も多いが,器質的便秘を除外する必要がある.
・便塞栓がある場合は,その除去が重要である.
・薬物治療は,浸透圧性下剤が第1選択である.
・2歳以上では,ポリエチレングリコール製剤を優先的に用いる.
◆病態と診断
A病態
・便秘が慢性化すると硬便が形成され,排便時の疼痛のため排便をがまんするようになる.これが便塊の貯留の原因となり便塞栓を形成する.便塊が貯留すると直腸は伸展し,直腸の知覚鈍麻の原因になり便意を消失し,それがまた便塞栓につながるという悪循環を生ずる.
・悪循環は,さらに便秘の増悪を招き,便漏れなど日常生活に著しい影響を及ぼすことがある.さらに巨大になった便塊が腎臓や尿路を圧排し,泌尿器系などの2次的な合併症の原因になるとともに,外科的な処置が必要な場合もある.
B診断
・1か月以上にわたり,週に2回以下の排便で排便痛があり,さらに兎糞便のような硬便の既往や便塊の存在が示唆されるものである.
・器質性のものと機能性のものに分けられ,器質性便秘はさらに外科疾患と内科疾患に分けられる.外科的な便秘のなかには,Hirschsprung病のように先天的な消化管の異常に起因するものが多く,多くは離乳食が開始になる生後6か月以内に便秘症状を生ずる.
◆治療方針
巨大便塊である便塞栓の有無を判定するのが大切であるが,便塞栓の存在を判定するにもスキルが必要なことから,最初に生活指導,食事療法,薬物療法を行い,無効な場合は後述の薬物療法を行い,これが困難であったら専門医へ紹介する.
便塞栓がない場合は,生活指導,食事療法,薬物療法を行う.
治療目標は,排便痛を伴わない,成人の片手一杯相当の便が週に3回以上を目安とする.
A食事療法
野菜,海藻など食物繊維の多いものがよいとされ,和食が推奨されている.