今日の診療
治療指針
小児

小児の検尿異常
the abnormal urinalysis in children and adolescents
秋岡祐子
(埼玉医科大学教授・小児科)

治療のポイント

・3歳児検尿では,先天性腎尿路異常(CAKUT)の早期発見を主眼としている.

・学校検尿では,血尿と蛋白尿が両者認められる慢性腎炎の早期発見が最も重要である.

・学校検尿で発見される無症候性の検尿異常では運動制限は必要ない.

◆病態と診断

A病態

・患者の多くは,3歳児検尿や学校検尿で検尿異常を指摘され,精密検診のため受診する.

・一般検尿における検査項目は,肉眼的所見,試験紙を用いたスクリーニング検査,および鏡検による赤血球,白血球,上皮細胞,円柱,結晶,細菌などの検査である.

・肉眼的血尿では尿中赤血球形態が重要である.糸球体性血尿では赤血球変形率が高い.鏡検で赤血球5個/強拡大視野(HPF:high power field)以上を血尿とする.

・白濁尿は尿路感染症に伴う白血球尿を示唆する.臭いが尿路感染症の診断契機になることもある.鏡検で白血球5個/HPF以上を白血球尿とする.

・蛋白尿に対する試験紙法はアルブミン尿を鋭敏に検出するが,尿細管性およびベンス・ジョーンズ蛋白などの低分子蛋白に対しては偽陰性を示す.尿細管性蛋白であるβ2 ミクログロブリン(β2MG)は,尿細管に異常をきたす疾患の臨床マーカーに用いられる.

B診断

1.採尿方法

・検査前日は夜間に及ぶ激しい運動を控え,寝る前に完全に排尿し,起きた直後の尿で,中間尿を採取する.

・月経と重なる場合,検尿を2週後に延期する.延期できない場合には,中間尿を採取する.

2.3歳児検尿および学校検尿における精密検診後の暫定診断

・精密検診後,尿所見などから以下のような暫定診断が下される.暫定診断は,確定診断を下す必要がない症例の経過観察や生活管理区分をつける指標となる.

1)無症候性血尿:潜血のみ+以上であった場合.

2)無症候性蛋白尿:蛋白尿のみ+以上であった場合.正確には尿蛋白/尿クレアチニン(Cr)比で評価し,0.15g/gCr以

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