頻度 よくみる
治療のポイント
・尿路感染症(UTI)は乳幼児では頻度が高い重症感染症で,不明熱時には検尿・尿培養を行う.
・抗菌薬を投与する前に尿定量培養を行う.
・乳幼児ではカテーテル採尿によって尿培養を行う.バッグ採尿は偽陽性が多く,行わない.
・初期治療はセフェム系抗菌薬を投与するが,起炎菌により適切に変更する.
・上部UTIでは膀胱尿管逆流(VUR:vesicoureteral reflux)などの先天性腎尿路異常(CAKUT)合併例が多い.必要に応じ排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を行う.
・機能性排尿排便障害(BBD)が基礎疾患として重要で,適切な指導が必要である.
◆病態と診断
A病態
・定量培養で有意な細菌が検出されることと定義され,感染部位によって下部UTI(膀胱炎)と,より重症な上部UTI(急性腎盂腎炎)とに大別される.
・乳児期発熱の5%を占め,最も頻度の高い細菌感染症である.3か月未満では10%に菌血症を伴うため,血液培養を行う.
・1歳未満では男児に多いが1歳以降は女児が多い.
・上部UTIでは30~50%が先天性腎尿路異常(CAKUT:congenital anomalies of the kidney and urinary tract)を合併している.CAKUTは男児に多い.
・排泄が自立した幼児期以降では,昼間尿失禁や便秘など機能性排尿排便障害(BBD:bladder and bowel dysfunction)の関与が大きい.
・ウイルス性の出血性膀胱炎もしばしばみられ,強い排尿時痛と肉眼的血尿が特徴である.
B診断
1.症状
・下部UTIでは排尿時痛や頻尿などが,上部UTIでは腰背部の疼痛・叩打痛などがみられるが,乳幼児では非特異的な症状(発熱,不機嫌,哺乳不良など)がほとんどである.
2.尿所見
・膿尿:重要な所見だが膿尿のないUTIも10%前後存在する.乳幼児・女児では偽
関連リンク
- 治療薬マニュアル2023/セフォタキシムナトリウム《クラフォラン セフォタックス》
- 治療薬マニュアル2023/セフトリアキソンナトリウム水和物《ロセフィン》
- 治療薬マニュアル2023/アンピシリン水和物《ビクシリン》
- 治療薬マニュアル2023/セファクロル《ケフラール》
- 治療薬マニュアル2023/セファレキシン《L-ケフレックス ケフレックス ラリキシン》
- 治療薬マニュアル2023/(合剤)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤)《バクタ バクトラミン》
- 今日の治療指針2023年版/膀胱炎
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/6 尿路感染症
- 新臨床内科学 第10版/1 急性腎盂腎炎,慢性腎盂腎炎
- 新臨床内科学 第10版/6 尿道炎
- 今日の診断指針 第8版/膀胱炎・腎盂腎炎
- 今日の診断指針 第8版/小児の尿路感染症
- 今日の小児治療指針 第17版/尿路感染症,膀胱尿管逆流