今日の診療
治療指針
小児

小児の肥満
obesity in children and adolescents
庄司保子
(日本大学・小児科学)

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GL小児肥満症診療ガイドライン2017

ニュートピックス

・COVID-19感染拡大に伴うライフスタイルの変化により,2020年の学校保健統計調査では肥満傾向児の割合が高1を除くすべての学年で増加し,特に増加幅の大きかった小5男児では前年を3.6%上回り14.2%に達した.

治療のポイント

・幼児期から肥満予防の生活指導が必要である.

・早期発見および治療効果判定には成長曲線を用いる.

・治療の目標は体重減少ではなく,内臓脂肪減少と,肥満に伴う合併症と重症度を軽減させることである.

◆病態と診断

A病態

・体脂肪が過剰に蓄積された状態であり,特に内臓脂肪蓄積状態は遊離脂肪酸の増加,アディポサイトカインの分泌異常を惹起し,さまざまな健康障害を引き起こす.

B診断

・次のいずれかにあてはまる場合に,小児肥満症と診断する.

1)6歳以上18歳未満で肥満度20%以上,かつ体脂肪率が有意に増加した状態

2)肥満治療を必要とする医学的異常(高血圧,換気障害,2型糖尿病・耐糖能障害,内臓脂肪型肥満,早期動脈硬化症)を1つ以上有する

3)肥満度50%以上で肥満と関連が深い代謝異常(非アルコール性脂肪性肝疾患,高インスリン血症かつ/または黒色表皮症,高TC血症かつ/または高non-HDL-C血症,高TG血症かつ/または低HDL-C血症,高尿酸血症)の1つ以上を有する,もしくは肥満度50%未満で2つ以上を満たす

◆治療方針

 食事を含めた生活習慣・学校生活について聞き取り,問題点を挙げる.毎日体重を記録させ,変化を可視化して治療の動機付けにつなげる.

A生活指導

 スクリーンタイムの制限など坐位時間の短縮,夜型の生活を是正し,十分な睡眠と規則正しい生活リズムを整えるよう指導する.また孤食や自室へこもらないよう家族の協力も仰ぐ.

B食事療法

 多くは過剰な摂取エネルギーが原因である.小児は発育段階であり,厳しい食事制限で

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