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GL熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023
ニュートピックス
・熱性けいれん診療ガイドラインが改訂され,2022年内に「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」が発行予定である.けいれんを伴わない発作も含むため,「熱性発作」が併記される.
治療のポイント
・日本では小児の7~11%が経験するといわれる良性疾患であることを保護者に説明し,不安を軽減することが重要である.
・5分以上続く発作は,抗てんかん薬を投与し,すみやかに頓挫させる.
・有熱時発作をきたす髄膜炎や脳炎・脳症などの重篤な疾患を除外する.
・熱性けいれんの再発予防に,発熱時のジアゼパム坐剤投与は有効だが,ルーティンに使用する必要はない.
◆病態と診断
A病態
・熱性けいれんでは,有病率に人種差があること,近親者での発症頻度が高いこと,一卵性双生児での一致率が高いこと,などから,遺伝的要因が発症に影響していると考えられる.一部で脳内のイオンチャネルなどの遺伝子の関連が報告されているが,多くは多因子遺伝と推測されている.
・発熱がもたらす脳内のサイトカインや神経伝達物質の産生や反応の異常,GABA作動性抑制系神経細胞のネットワークの未熟性の関与などが想定されているが,本態にはいまだ不明な部分が多い.
B診断
・熱性けいれんは,主に生後6か月から60か月までの乳幼児期に起こる,通常は38℃以上の発熱に伴う発作性疾患である.
・髄膜炎などの中枢神経感染症,代謝異常,そのほか発作の原因がないもので,てんかんの既往のあるものは除外される.
・発作には全身の強直けいれんや,強直間代けいれんが多いが,けいれんを伴わない脱力や一点凝視のみの発作など,非けいれん性の発作を含むことに注意が必要である.
◆治療方針
A急性期治療(発作時の対応)
1.発作が止まっている場合の対応
5分以内に発作が止まり,意識障害,そのほかの神経学的異常が