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GLてんかん診療ガイドライン2018
ニュートピックス
・国際抗てんかん連盟(ILAE)の2017年版「てんかん分類」と「発作型分類」の日本語訳が浸透している.
治療のポイント
・小児てんかんは自然終息性や治療反応性の対処しやすい病型と,きわめて難治な病型の両極端に分かれる.
・小児てんかんは,成人例に比較しててんかん症候群や発作型が多彩であり,しかも年齢依存性を示す.治療方針はこれらの特徴に応じて決定する.
◆病態と診断
A病態
・小児てんかんの病因は多様であり,発達遅滞・障害,神経学的異常を認める例では基礎疾患の検索が肝要である.
・てんかん性脳症は,てんかん性の異常脳活動自体が認知・行動障害を惹起する状態である.この概念を拡張した発達性てんかん性脳症は,病因の遺伝子変異などによる発達面への直接的影響も含むもので,特に小児期で重要であり,代表的病型はウエスト症候群(点頭てんかん)である.
B診断
・てんかんの診断で最も重要なのは発作症状などについての問診である.誘因のない発作性症状(けいれん,意識障害,異常運動・行動など)を認めた場合,小児では本人の自覚症状はわからないので,観察者の目撃証言を詳細に聴取する.
・脳波所見は,症状から推測される発作型・てんかん病型診断の裏付けとなる.
・てんかん症候群は,各種てんかんのなかでも臨床症状と脳波の両面からみて明確な特徴をもつ臨床疾患であり,好発年齢,発作型,特異的脳波パターンなどで診断する.小児てんかんでは特に年齢依存性のてんかん症候群が多く,その診断は治療方針決定や予後予測において重要である.
◆治療方針
A全体的方針
病型に応じて治療方針を決定する.薬物治療の開始は成人と同様に2回以上の発作を認めてからのことが多いが,自然終息性てんかんで発作回数が少なければ投薬しないで観察することもできる.適宜薬物血中濃度や副作用をチェックする.