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治療指針
小児

小児の摂食障害
eating disorders in children
田中恭子
(国立成育医療研究センター・児童・思春期リエゾン診療科診療部長(東京))

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GL小児科医のための摂食障害診療ガイドライン(2015)

治療のポイント

・近年ではコロナ禍による患者数の増加と初潮前に発症する低年齢化が目立ち,発達障害との関連も報告されている.心身両面のケアが必要であるが,どちらも低栄養がすすむほど治療が難しくなるため,早期の対応が求められる.

・教育機関と連携しながら早期の適切な治療が必要である.

◆病態と診断

A摂食障害とは

・アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が発行するDSM-5では,病的にやせて「やせ願望」や「肥満恐怖」や「ボディーイメージの歪み」もない「拒食症」に似た食行動異常は,「回避/制限性食物摂取障害」と診断されることになった.

B症状

1.身体症状

正常下限を下回るやせがあり,成人ではBMIが15未満になると最重度と診断される.

・やせているのに活発に活動することが多くみられ,やせに伴い次第に筋力低下や疲れやすさを感じるようになる.

・低血圧,心拍数低下,低体温,無月経,便秘,下肢のむくみ,背中の濃い産毛,皮膚の乾燥,過食や嘔吐がある場合には唾液腺が腫れたり,手に吐きだこがみられるケースもある.また,骨粗鬆症や腎機能障害,脳の萎縮もみられるようになる.

2.精神症状

・うつ気分や不安,こだわりや強迫観念が強くなる.特に思春期やせ症ではやせていることで満足感は得られるが,根底には強い自己肯定感の低さが存在する.体力低下に伴い,学業や仕事の能率の低下もみられ日常生活にも支障が出ることがある.

・食行動異常としては,摂食制限,過食,バージング(自己誘発性嘔吐,下剤や利尿薬の乱用,絶食,過剰な運動など)があるが,特にバージングは,回避性,強迫性,境界性パーソナリティー障害,抑うつなど,精神症状をきたす症例が多い.

・ボディーイメージの歪みとして①体重,体型についての不満,②体重減少願望,③

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