今日の診療
治療指針
小児

夜驚症/睡眠障害
sleep terrors,disorders of arousal from NREM sleep
豊浦麻記子
(兵庫県立リハビリテーション中央病院・子どものリハビリテーション・睡眠・発達医療センター部長)

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治療のポイント

・年齢とともに消失する病態であることを説明する.

・睡眠不足や不規則な睡眠リズムが症状を悪化させるため,睡眠衛生指導をまず始めに行う.

・不安やストレスが関連している場合は,環境調整や行動療法を行う.

◆病態と診断

A病態

・夜驚症(睡眠時驚愕症)は,睡眠時随伴症のうちノンレム睡眠(徐波睡眠)からの不完全覚醒によって生じる覚醒障害である.

・通常,徐波睡眠の割合の多い小児期に発症し,有病率は約3%,年齢のピークは5~7歳で,思春期に消退することが多い.

・突然の金切り声の啼泣あるいは叫び声で始まり,瞳孔散大,頻拍,頻呼吸,皮膚紅潮,発汗など強い恐怖を示す自律神経系の興奮を伴う(睡眠障害国際分類第3版:ICSD-3).

・同じくノンレム睡眠からの覚醒障害群に,錯乱性覚醒(臥床中に生じる精神的混乱や混乱した行動),睡眠時遊行症(寝床以外での歩行や混乱した行動)が含まれるが,いずれも自律神経系の興奮は伴わない.

・徐波睡眠の多い睡眠の最初の1/3~1/2に起こり,持続は数分以内で,典型的にはエピソードについての健忘がある.

・発熱などの急性ストレスや睡眠不足は徐波睡眠の増加を促すため,誘発因子となる.

・不安や心理的ストレス,就寝時の動画視聴などの刺激は症状を増悪させる.

・合併する睡眠時呼吸障害,周期性四肢運動異常症,レストレスレッグス症候群が夜驚症や睡眠時遊行症の発症に関連がある.

B診断

・詳細な問診(夜間総睡眠時間,入眠時刻,起床時刻,睡眠リズムのばらつき,就寝時のメディアの使用,不安やストレス,いびきや脚の不快感の有無,エピソードの様子や起こるタイミング,本人にエピソードの記憶がないこと)が最も重要である.

・睡眠日誌および睡眠ログは,睡眠不足や不規則な睡眠リズムがエピソードと関連があるかどうかを判断するのに役立つ.

・夜驚の様子を自宅で動画撮影してもらうことは非常に有用で

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