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治療指針
小児

夜尿症
nocturnal enuresis
辻 章志
(関西医科大学准教授・小児科学)

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GL夜尿症診療ガイドライン2021

ニュートピックス

・選択的β3 アドレナリン受容体作動薬のビベグロン(ベオーバ)が,治療抵抗性の夜尿症に対して効果を認める報告が出てきている.ただし,現在ビベグロンには夜尿症に対する保険適用はなく(過活動膀胱に対して適用),小児用量は設定されていない.

治療のポイント

・夜尿症に対する治療は,まずは夜間の水分摂取制限や塩分摂取過多を避けるなどの生活指導から開始する.

・便秘が存在することが治療反応性に影響するため,保護者だけでなく患者本人からも便秘の有無を聞き取ることは重要である.

・生活指導で夜尿の改善がない場合は,すみやかに薬物療法や夜尿アラーム療法などの積極的治療を開始する.

・昼間尿失禁などの下部尿路症状を伴う場合は,その症状に対する治療から開始する.

◆病態と診断

A病態

・夜尿症の定義は次の通りである:5歳以上の小児の就眠中の間欠的尿失禁,昼間尿失禁やほかの下部尿路症状(LUTS:lower urinary tract symptoms)の合併の有無は問わない,1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続く,1週間に4日以上の夜尿を「頻回」,3日以下の夜尿を「非頻回」とする.

・夜尿症の原因には複数の要因が関与している.代表的な3つの要因として,夜間の尿の生成量の問題夜間の膀胱の蓄尿能力の問題睡眠から覚醒する能力の問題がある.そのほかに発達の遅れ,遺伝的素因の関与などがある.

・夜尿症の有病率は5歳で15%,10歳で5%,15歳以上で1~2%とされている.男女比は2:1で男児に多い.

B診断

・生まれてから6か月以上の期間が空かずに持続する夜尿を一次性夜尿症,6か月以上夜尿が消失していた時期がある場合の再発を二次性夜尿症という.

・夜尿のみを認める場合を単一症候性夜尿症,夜尿に加えて昼間尿失禁や何らかのLUTSを伴う場合を非単一症候性夜尿症という

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