今日の診療
治療指針
小児

不登校
school refusal,truancy
作田亮一
(獨協医科大学埼玉医療センター・子どものこころ診療センター教授)

ニュートピックス

・コロナ禍で増えた不登校:学校生活や生徒同士の人間関係の変化がストレス要因となる.コロナ感染を回避するため登校しない選択をする生徒も存在する.オンライン学習を取り入れ学習機会の多様化が進むかもしれない.

治療のポイント

・子どもの立場に立って困り感を共有する.

・治療のゴールは再登校ではなく,身体と心の健康を保ち社会生活ができることである.

・心身症,神経発達症,学校・家庭環境の問題,睡眠障害,精神症状などの診断,治療,支援が必要となる.

・学校,福祉,行政などとの連携が重要である.

・小児心身医学会ガイドライン集 改訂第2版「小児科医のための不登校診療ガイドライン」.pp88-116(2015年)を参照のこと.

◆病態と診断

A病態

・多面的な視点で病態をとらえる.①心身症:不定愁訴が心理社会的背景と関連している場合(起立性調節障害,過敏性腸症候群など),②生活リズムの乱れ:朝起きられない(概日リズム睡眠障害,ゲーム症など),③対人関係や学習の問題:神経発達症の併存では社会性の困難さ,学習困難など学校で適応が難しい,④学校・家庭環境:いじめ,虐待,経済的貧困,両親の離婚,非行,ヤングケアラー,養育者の精神疾患など,⑤精神症状:不安障害,抑うつ状態などの併存.

・増加する不登校児.2015(平成27)年度不登校の割合は,小学校0.42%(237人に1人),中学校2.83%(35人に1人),小中学校合計1.26%(80人に1人)だったが,2020(令和2)年度は,小学校1.0%(100人に1人),中学校4.09%(24人に1人),小中学校合計2.05%(49人に1人)と倍増した.

B診断

・定義:医学的な診断名ではなく状態を示す.文部科学省は「何らかの心理的,情緒的,身体的若しくは社会的要因又は背景によって,児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由による場合

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