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治療指針
小児

ダウン症候群(21トリソミー)
Down syndrome(trisomy 21)
高田史男
(北里大学大学院教授・臨床遺伝医学)

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治療のポイント

・乳幼児期は,臓器合併症への個別対応に加え,精神運動発達遅滞に対し五感をフルに活用すべく刺激を与え発達を促進する.主に体幹を中心とした筋の低緊張改善を目指したリハビリテーションを実施する.両親の愛着行動を促進できるよう継続診療の中で両親の話しに傾聴し助言を与える.

・学童期は,甲状腺機能異常などの合併症の診断・治療とともに,学校や療育・訓練,習い事,行政の障害福祉関連の助言や書類作成など,幅広い支援を行う.

・青年期以降は,ダウン症候群のみを理由に継続診療をしてくれる成人向け専門診療科が存在しないので,継続診療先を探すのが課題となる.

◆病態と診断

A染色体核型

・21番染色体のトリソミーが原因である.

・標準型が約95%,転座型が約5%,モザイク型が約1%弱程度を占める.

・標準型は,卵子の第一減数分裂時の不分離により生ずることが多く,すなわち非遺伝性である.標準型の出生率は母体の加齢に伴い上昇し,20代で1/600~1/1,000出生,35歳で1/300,40歳で1/100出生となる.

・転座型は両親のどちらかが均衡型相互転座保因者の場合があり,その場合は遺伝性である.

・モザイク型は受精後の体細胞分裂の過程で生じ,トリソミー細胞の割合が多いとより典型的な表現型を呈するが,実際に全細胞のモザイクの割合を計算することは不可能であり,臓器による偏りもあり得るので正確な評価は難しい.

B表現型

・多くの症例はダウン症候群に特有の顔貌を有しており,内眼角贅皮,眼瞼裂斜上,鼻根部平低,小さい鼻,舌挺出,丸い顔,折れ曲がった耳介などを呈す.

・手掌の横一文字の屈曲線(simian crease)を一般より若干高頻度に認める.

・第5指の中節骨が短く,総じて第5指短指症を呈する.その極形で中節骨が欠損ないし痕跡程度しかないために,第5指単一屈曲線を呈することがある.

◆治療方針

 生下

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