今日の診療
治療指針

紫外線・赤外線・レーザー光線(非電離放射線)による眼の障害
eye injury by non-ionizing radiation(ultra-violet,infrared,laser beam)
岩渕成祐
(昭和大学江東豊洲病院教授・眼科学)

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A紫外線による眼の障害

1.病態と診断

 紫外線はUV-A(波長315~400nm),UV-B(波長280~315nm),UV-C(波長200~280nm)があるが,UV-Cは地表には届かないので,問題にはならない.眼に対しては主にUV-B角膜炎雪目電気性眼炎),白内障翼状片を起こす.

2.治療方針

a.角膜上皮障害

 感染に注意し,点眼にて加療する.通常1~2日で治癒する.予防はゴーグルによる紫外線の回避を指導する.

Px処方例 下記を併用する.

 ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン)点眼液(0.1%) 1回1滴 1日4回

 レボフロキサシン(クラビット)点眼液(1.5%) 1回1滴 1日4回

b.白内障

 不自由になったら治療を行う.現在は多焦点レンズによる手術も行われている.

c.翼状片

 瞳孔領にかかってしまってからは,視力障害の原因となるので,その前の手術を推奨するが,手術後の再発にも注意しなければならない.

B赤外線による眼の障害

1.病態と診断

 赤外線は波長が780nm~1mmである.ガラス工作業者にガラス工白内障としてみられることがある.

2.治療方針

 白内障に対しては不自由になったら,手術を行う.予防として,ゴーグルによる遮光が推奨される.

Cレーザー光線による眼の障害

1.病態と診断

 レーザー光は単一の波長でエネルギーが大きく,照射により網膜の障害が起こる.特に光源を見つめている場合は,黄斑部にレーザー光が当たり,視力障害をきたす.レーザーポインターによるものも,なかにはエネルギーが高いものがあり,誤照射により網膜に障害を起こし,場合によっては視力障害をきたす.

2.治療方針

 誤照射があった場合,ステロイド点眼,内服により炎症の軽減をはかるが,網膜に瘢痕が残ることは避けられない.

Dマイクロ波による眼の障害

 家庭用電子レンジに使用されているのはマイクロ波であり,マイ

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