治療のポイント
・遠視,近視,乱視いずれの屈折異常も眼鏡もしくはCLで適正矯正を目指す.
・中等度以上の乱視にはハードCLが適応になる.
・眼精疲労患者や老視世代には累進屈折力眼鏡や多焦点CLで対応する.
◆病態と診断
A病態
・目に入る光は角膜と水晶体で屈折され網膜で焦点が結ばれるが,遠視は眼軸長が短いため焦点が後方に,近視では眼軸長が長くなり焦点が手前で合うためボケて見える.
・乱視は角膜の縦と横の屈折力の差で網膜上の1点に焦点が合わずダブって見える.
・加齢とともに水晶体の調節力は低下する(老視).
B診断
・他覚的屈折検査(オートレフラクトメータ)で診断する.
・乳幼児には,スポットビジョンスクリーナーが有用で,1m離れた距離から両眼同時に数秒で計測が可能である.
◆治療方針
A眼鏡による屈折矯正
屈折異常の矯正の基本は眼鏡である.眼鏡は矯正度数が適正で,レンズの光学中心が瞳孔間距離と一致し,正しい位置(頂間距離が12mm,視線が光学中心を通る)で処方されて最良の効果を発揮する.
1.度数の決定
オートレフラクトメータは近視が強く出る傾向にあるが,乱視度数と軸は信頼できる.計測値を参考に球面レンズ度数を決定する.1.0D以上の乱視があれば円柱レンズで矯正する.
小児で弱視が疑われる場合は,下記の調節麻痺薬を使用して正確な屈折値を得る.
Px処方例 通常は1)で検査するが,強い遠視や内斜視を伴う場合には2)を用いる.
!注意 2)アトロピン点眼薬使用中に体調の変化があれば使用を中止することを,患者に伝える.
2.レンズ種類の選択
職種やライフスタイルに合わせて患者が希望する距離が適正に見えるよう矯正するが,眼精疲労や老