今日の診療
治療指針

近視
myopia
平岡孝浩
(筑波大学准教授・眼科)

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ニュートピックス

・低濃度アトロピン点眼,オルソケラトロジー,多焦点ソフトコンタクトレンズ,特殊デザイン眼鏡など複数の近視進行抑制法が登場し,RCTで有効性が確認されている.

◆病態と診断

A病態

・眼内に入射した平行光線が網膜前方に焦点を結ぶ状態である.焦点距離f(m)の逆数であるジオプトリー(D:diopter)という単位で度数を表す(1/f=D).マイナスの数値が大きいほど近視が強いことを示し,-3Dまでは弱度近視,-3Dを超えて-6Dまでを中等度近視,-6Dを超えると強度近視とよんでいる.

・近視は眼球の屈折力と眼軸長のアンバランスにより生じ,眼軸長が正常範囲にあるが角膜や水晶体の屈折力が強いために生じる近視を屈折性近視,逆に屈折力は正常であるが眼軸長が長いために生じる近視を軸性近視という.通常の近視は軸性近視が主たる病態である.

・単純近視と病的近視(変性近視)という区分もある.前者は屈折異常以外に器質的な異常を認めないが,後者は眼底の萎縮,変性をきたし,しばしば視機能低下を生じる.

B診断

・短時間かつ高精度で行えるオートレフラクトメータによる他覚的屈折検査が一般的である.

・検影法や自覚的屈折検査(レンズ交換法や赤緑試験)でも診断できる.ただし,小児では調節の影響が入りやすく,不正確な測定に陥りやすい.

・正確に判定する場合には,シクロペントラートなどの調節麻痺薬を投与したあとに検査を行う.

◆治療方針

A単純近視

 特別な治療は必要ない.眼鏡やコンタクトレンズなどで近視矯正を行う.昼間の矯正用具から解放され裸眼での生活を希望するケースでは,屈折矯正手術〔LASIK(laser in situ keratomileusis)やPRK(photo-refractive keratoplasty)〕やオルソケラトロジー(就寝時のみ装用する角膜矯正コンタクトレンズ)なども行われ

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