今日の診療
治療指針

ドライアイ
dry eye disease
白石 敦
(愛媛大学教授・眼科学)

頻度 よくみる(40歳以上の男性10%強,女性20%強)

GLドライアイ診療ガイドライン(2019)

治療のポイント

・自覚症状および細隙灯顕微鏡による他覚的所見をもとに診断・治療を行う.

・病態を的確に診断し,その原因に対する治療法を選択する.

・ドライアイ治療の主体は点眼治療である.

◆病態と診断

A病態

・定義:ドライアイは,さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり,眼不快感や視機能異常を生じ,眼表面の障害を伴うことがある.

・ドライアイ発症のメカニズムは,開瞼時の「涙液層の安定性低下」と,瞬目時の「摩擦亢進」と考えられている.

・2つのメカニズムの要因として,涙液分泌低下,眼表面または涙液中ムチンの低下,マイボーム腺機能不全,炎症などさまざまな要因がある.

・近年,自覚症状発症原因として,角膜知覚神経末端の受容器の関与が指摘されている.

B診断

・診断基準:以下の1),2)を有するものをドライアイとする.

1)眼不快感,視機能異常などの自覚症状

2)涙液層破壊時間(BUT:tear film breakup time)が5秒以下

・現在の診断基準では,症状のスコアリングや重症度分類はされていない.

◆治療方針

 自覚症状に加えて,涙液検査や角結膜上皮の他覚的検査をもとに治療を行う.治療の主体は点眼治療であるが,日常生活でドライアイを誘発する要因があれば,まずはその改善から始める.点眼治療で効果不十分な場合には,外科的治療を考慮する.

A点眼治療

1.一般的なドライアイ症状

Px処方例 自覚症状や他覚的所見が軽度であれば1)または2)から開始する.改善がみられない場合や,自覚・他覚的所見が強いときには,3)または4)を用いる.症状や他覚的所見に合わせて2)~4)を併用することもある.

1)ホウ酸・無機塩類配合剤(人工涙液マイティア)点眼液 1回1滴 1日数回~頻回

2)ヒアルロン酸ナトリウム(ヒア

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?