今日の診療
治療指針

白内障
cataract
藤田善史
(藤田眼科・理事長(徳島))

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ニュートピックス

・高次非球面単焦点眼内レンズ(アイハンス)が登場し,低加入度数分節眼内レンズ(レンティスコンフォート)とともに,保険診療で明視域をある程度拡張する眼内レンズが使用できるようになった.

治療のポイント

・加齢とともに起こる白内障は,視力低下,羞明などの症状を起こすが,超音波白内障手術で水晶体の混濁を除去し,眼内レンズを挿入することで視力を回復することができる.

・眼内レンズには単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあり,単焦点眼内レンズは保険診療だが,多焦点眼内レンズは選定療養となり患者は保険診療費と各施設で設定した多焦点眼内レンズ費用を負担する.

・白内障手術は安全に行われるとともに,近視,遠視,乱視などの屈折矯正も可能となった.

◆病態と診断

A病態

・水晶体が混濁する白内障は,外界からの視覚情報が網膜に明瞭に投影せず徐々に視力が低下する.

・原因は加齢によることが多いが,アトピー,外傷,紫外線,ステロイド内服,放射線照射なども危険因子とされる.

・発症頻度は,60代で約60%,70代で約80%,80歳以上で100%とされている.

B診断

・自覚症状は,遠方あるいは近方の視力低下単眼性複視,昼間の羞明,夜間の対向車ライトの眩しさ,コントラストの低下などである.

・細隙灯顕微鏡で水晶体の混濁を確認する.

・白内障の程度は,遠方および近方視力,眼底の透見度,コントラスト感度,波面収差などで総合的に判断する.

・白内障以外の原因で視力低下を起こしていないことを確認する.

◆治療方針

 患者の自覚症状の程度により経過観察をするか手術を選択する.日常生活に不自由がないのであれば,ピレノキシン点眼薬などを処方し経過観察を行う.手術を希望する場合は,超音波白内障手術で混濁した水晶体を除去し,単焦点眼内レンズあるいは多焦点眼内レンズを挿入する.

A超音波白内障手術

 角膜と強膜の間を約2mm切

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