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治療のポイント
・本欄では滲出性AMDについて述べる.
・視力低下,中心暗点,歪視などで発症し,周辺部の視野は保たれることが多い.
・自然経過では黄斑部網膜の変性により中心視力が低下し,QOLを著しく損ねる疾患である.
・2008年に抗VEGF治療が保険適用となり,予後が改善している.
・網膜変性が進行した後では治療による視力改善効果が乏しく,早期診断・治療が重要である.
・両眼性に発症するリスクがある.
・治療を中断すると再燃・再発がしばしばみられ,継続的な経過観察・治療が必要である.
◆病態と診断
A病態
・網膜の中心部である黄斑に変性をきたし進行性に視力が低下する疾患であり,主に50歳以上にみられる.
・黄斑に新生血管を生じ出血や組織液の漏出などを伴う滲出型と,新生血管を伴わず網膜が徐々に変性,萎縮する萎縮型がある.
・原因は不明であるが,加齢に加え遺伝的因子や喫煙といった環境因子など複数の要因が関与していると考えられている.
B診断
・眼底検査により,黄斑部の滲出性変化や萎縮病巣,新生血管の部位や大きさを確認する.
・フルオレセインおよびインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査により,新生血管の有無や大きさ,疾患活動性を評価する.
・光干渉断層計(OCT:optical coherence tomography)は非侵襲的に網膜断層画像を撮影することができ,診断や疾患活動性の評価に非常に有用である.
◆治療方針
萎縮型AMDには現在有効な治療法はない.
滲出型AMDでは,新生血管に滲出性変化(出血,網膜内浮腫,網膜下液など)を伴う場合は疾患活動性があると考え,治療適応がある.
A抗血管内皮増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)治療
中心窩下に新生血管を伴う滲出型AMD治療の第1選択である.抗VEGF薬を硝子体内に注入し,新生血管を縮小させ