頻度 あまりみない
治療のポイント
・受傷の状況を正確に把握することが大切であり,問診が重要である.
・鈍的外傷では,視診上問題がなくても,眼球内部に重篤な障害が生じていることがある.
・時間が経過してから発症する病態があり,専門医のフォローが必要となることもある.
◆病態と診断
A病態
・眼外傷は,外力による物理的な障害,化学物質などによる非物理的な障害により引き起こされる.
・鈍的外傷では外力による眼球の変形と衝撃波により組織障害が生じる.外力が直達した部分と,間接的に力が加わった部分に障害が生じる.
・鋭的外傷では衝撃が加わった作用点に組織障害が生じる.裂傷や穿孔,眼内異物が含まれる.
・化学外傷は,酸やアルカリにより組織が障害される.
・光線障害には紫外線,日光やレーザー光による障害がある.
B診断
・鋭的外力による裂傷や穿孔では,眼瞼,角膜,結膜,強膜を細隙灯顕微鏡を用いて損傷部を丁寧に診察する.
・鈍的外力による眼球障害は,多彩な所見を呈する.
・救急医療の現場では,光覚の有無,指数弁,手動弁など大まかでよいので視力を記録することが重要である.
・眼圧測定,対光反応,細隙灯顕微鏡,眼底検査(散瞳しての検査を含む)が必要となる.さらにCT,超音波断層像,光干渉断層計,隅角検査,視野検査などを適宜追加する.
・問診や周囲の人からの情報収集も大切である.
◆治療方針
A眼瞼裂傷(涙小管断裂)
流涙を防ぐために,涙小管を同定し,涙道チューブを留置しつつ眼瞼縫合を行う.
B眼窩壁骨折
外眼筋の骨折部への嵌頓がみられれば緊急手術の適応である.眼窩縁からのアプローチと,経鼻的に副鼻腔からアプローチする方法がある.
C角膜化学外傷
受傷後間もなければ,十分な量(500mL以上)の生理食塩液で結膜嚢内を持続洗浄する.酸性溶液による障害に比べ,アルカリ性の障害は角膜深部まで及ぶため予後は不良である.感染予防のための抗菌薬点