今日の診療
治療指針

虚血性視神経症
ischemic optic neuropathy(ION)
前久保知行
(眼科三宅病院・医長(愛知))

頻度 割合みる(非動脈炎性虚血性視神経症)

頻度 あまりみない(動脈炎性虚血性視神経症)

治療のポイント

・原因として動脈炎性と非動脈炎性があり,その鑑別が重要となる.

・動脈炎性では僚眼への発症リスクも高いため,診断後可及的すみやかにステロイドパルス療法を施行する.

・非動脈炎性ではエビデンスとして確立された治療法はない.

◆病態と診断

A病態

・IONは虚血が生じた部位により前部虚血性視神経症(AION:anterior ischemic optic neuropathy)と後部虚血性視神経症(PION:posterior ischemic optic neuropathy)に分類される.ほとんどがAIONでありPIONはまれである.

・原因から動脈炎性(A-AION:arteritic AION)と非動脈炎性(NA-AION:non-arteritic AION)に分類される.

・A-AIONでは,巨細胞性血管炎を背景に短後毛様動脈の血管炎による循環障害が生じる.

・NA-AIONでは,乳頭部血管の一過性低灌流による循環障害が生じる.

・NA-AIONの発症リスクとして,糖尿病,高血圧,夜間低血圧,睡眠時無呼吸症候群,貧血,片頭痛などの全身性疾患や,視神経乳頭部の小乳頭や乳頭陥凹が小さいもしくは消失していること(disc at risk)などの構造的異常が挙げられる.

B診断

卒中型パターンで発症し無痛性に視力,視野障害を生じる.

・区域性血流障害を生じることが多いことから,水平半盲に代表される区画性視野障害となる.

乳頭腫脹を認め,出血を伴うことや乳頭周囲に網膜皺,網膜内浮腫などを生じる症例もある.

・蛍光眼底造影検査では,早期充盈遅延,後期過蛍光を認める.

・持続する発熱,体重減少,頭痛,側頭部痛,顎跛行症状や採血検査でのCRP,血沈上昇がある場合にはA-AIONを疑い,確定診断のため浅側頭動脈

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