頻度 割合みる
GL形成外科診療ガイドライン〔頭蓋顎顔面疾患(主に先天性)〕(2021)
治療のポイント
・小耳症に対しては10歳前後に耳介形成を2段階手術で行う.
・耳瘻孔に対しては消炎と摘出術が行われる.
・外耳道閉鎖症による難聴に対してさまざまな補聴器や手術が行われている.
◆病態と診断
A病態
・耳介は第1および第2鰓弓から生じる耳介小丘が融合して形成される.小耳症は欧米諸国と比べて頻度は高く,1万人に1人の発生頻度で,両側性は全体の約10%といわれている.
・副耳は耳珠の前方に存在することが多く,軟骨成分を含んでいることが多い.
・耳垂裂は切痕の向きや方向がさまざまで,高度なものは耳垂欠損と呼ばれる.
・先天性耳瘻孔は陥凹部が皮膚への開口部であり,深部は耳介軟骨に達するか,貫通して耳介後面まで及ぶものもある.瘻孔壁は上皮成分なので,皮脂が詰まって時々炎症を起こす.
・外耳道は第1と第2鰓弓の間に生じる第1鰓溝から形成される.外耳道が骨または結合織で閉鎖された状態を外耳道閉鎖症とよび,骨性閉鎖の頻度が高い.
B診断
・耳介が低形成で構成成分が欠損している状態を小耳症と呼び,多くの場合で外耳道閉鎖症を伴う高度の伝音難聴を呈する.耳介の前方に有茎小隆起を認めるものを副耳と呼ぶ.耳垂部分に切れ込みを認めるものを耳垂裂,耳介上部が側頭部皮下に埋没した状態を埋没耳と呼ぶ.そのほか,立ち耳,スタール耳,折れ耳などもある.
・外耳あるいはその周辺の皮膚の小陥凹を先天性耳瘻孔とし,外耳の前方にみられるものを耳前瘻孔,耳輪脚などにみられるものを耳介瘻孔とよぶ.
・耳鏡検査で外耳道の閉鎖が診断でき,生まれつきのものを先天性外耳道閉鎖症と呼ぶ.
◆治療方針
A耳介の先天異常
小耳症に対しては自家肋軟骨を細工してフレームワークを作成し,移植する方法が一般的である.肋軟骨を採取するため,胸郭が十分発育する10歳前後で手術を行う