頻度 割合みる
治療のポイント
・エビデンスレベルの高い治療法はない.
・合併症のリスクを考慮しつつ,スタンダードな治療を心掛ける.
◆病態と診断
A病態
・急性感音難聴のうちで最終的に原因を特定できなかったものの総称であるが,実際にはその大多数がこれに相当する.
・特定はできないものの,病因としては循環障害(内耳梗塞)ならびにウイルス感染ないし再活性化が古くより想定されており,近年では診断に至らない外リンパ瘻の関与も疑われる.
B診断
・隣り合うオクターブ(倍音)間隔の3周波数において各々30dB以上の感音難聴が,72時間以内に生じた場合に診断基準に該当する.その後に進行する場合も含める.
・患側の耳鳴を伴う場合が多い.
・原因の明らかな急性感音難聴をきたす疾患を除外する必要があり,以下に列挙する.
・鑑別(除外)疾患の例:メニエール病,外リンパ瘻,急性音響性難聴,ムンプス難聴,Ramsay-Hunt症候群,聴神経腫瘍,前下小脳動脈症候群.
◆治療方針
「科学的根拠に欠けるものの推奨される」とガイドラインにおいて認定されている治療法には,副腎皮質ステロイド薬全身投与・同局所投与・プロスタグランディンE1・高気圧酸素療法などがある.また,内容にかかわらず早期に治療を開始すると予後がよいとされる.従来から最も標準的とされているのは副腎皮質ステロイド薬全身投与(内服・点滴)である.どの治療法を選択する場合でも,十分な説明を行ったうえで合併症を明記した同意承諾書を取得する必要がある.めまいを伴う場合,難聴が高度な場合などでは聴力予後が悪くなるので,エビデンスはないものの入院加療を勧めることがある.
Px処方例
副腎皮質ステロイド薬として1),入院の場合は点滴にて2)を用いる.めまいを合併し悪心・嘔吐を伴う場合には3)または4)を併用する.
1)プレドニゾロン(プレドニン薬)錠(5mg) 朝4錠 昼2錠 1日2
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