今日の診療
治療指針

鼻副鼻腔炎
rhinosinusitis
清水猛史
(滋賀医科大学教授・耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)

GL急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版

治療のポイント

・鼻副鼻腔炎は,小児と成人,急性炎症と慢性炎症で治療方針が異なり,病態もさまざまで,感染によるもの(ウイルス性,細菌性,真菌性),好酸球性炎症(2型炎症)によるもの,歯性炎症や腫瘍性病変に伴うものなどがある.

・急性鼻副鼻腔炎は肺炎球菌やインフルエンザ菌を標的に,重症度に応じた薬剤選択が重要である.

・従来の慢性鼻副鼻腔炎には,14員環マクロライド系抗菌薬の少量長期投与(マクロライド療法)と内視鏡下鼻副鼻腔手術が有効である.

・好酸球性鼻副鼻腔炎は成人に発症し,多発性・再発性の鼻茸形成とニカワ様鼻汁,組織への好酸球浸潤を特徴とする疾患で,喘息を伴うことが多い.マクロライド療法は効果が乏しく,局所・全身のステロイド薬投与と内視鏡下鼻副鼻腔手術が行われるが,難治性で再発しやすい.

・眼窩内合併症や頭蓋内合併症に注意する.

◆病態と診断

A病態

・急性鼻副鼻腔炎は発症から1か月以内の感染症で,ウイルス感染が発端となり,数日後に細菌感染に移行して生じる.

・慢性鼻副鼻腔炎は3か月以上,鼻閉・鼻漏・後鼻漏などの症状が持続する炎症で,感染や炎症によって,副鼻腔自然口が閉塞し,洞内に膿性貯留液が停滞し炎症性粘膜変化が生じる.

・好酸球性鼻副鼻腔炎は,好酸球浸潤を伴う2型炎症が認められ,成人喘息を合併することが多く,上下気道に類似した病態を呈する.

・真菌性鼻副鼻腔炎は,慢性非浸潤型と浸潤型(眼窩内・頭蓋内進展を生じやすい),さらにアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎に分類される.

・片側性鼻副鼻腔炎では,内反性乳頭腫や悪性腫瘍などの腫瘍性病変や歯性炎症を伴う場合があり,小児では鼻腔異物が原因になることがある.

B診断

・鼻閉,鼻漏,後鼻漏,咳嗽,嗅覚障害,頬部痛,頭重感などの臨床症状と,鼻内所見(鼻茸の有無,水様性・膿性・ニカワ様・血性・悪臭を伴う鼻汁など),副

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?