頻度 あまりみない
GL頭頸部癌診療ガイドライン2022年版
ニュートピックス
・動注化学放射線治療の臨床試験が進行中である.
・手術以外の治療として,粒子線(重粒子線・陽子線)治療に加え,2020年6月より,切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部癌に対して,ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が,2020年11月より頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)が保険適用となった.
治療のポイント
・手術治療が標準治療であるが,化学療法,放射線治療を合わせた集学的治療法が行われる.
◆病態と診断
A病態
・頻度は,頭頸部癌のなかで3.2%(2018年頭頸部悪性腫瘍全国登録)と低頻度であり,近年は減少傾向にある.
・組織学的には,扁平上皮癌が多いものの,腺様嚢胞癌,腺癌などの癌腫,悪性黒色腫,悪性リンパ腫など,さまざまな悪性腫瘍が発生する.
・鼻閉,頬部痛,鼻出血(血性鼻漏),頬部腫脹などを呈するが,進行すると眼球突出,視力障害,開口障害などが発生する.
・頸部リンパ節腫脹の頻度は低い.
・画像撮影で偶然みつかることがある.
B診断
・CT,MRIにおいて,周囲組織に浸潤性の骨破壊病変として描出されることが多い.ただし,浸潤性真菌症や長期経過の嚢胞性疾患の鑑別が必要である.
・病理組織学的検査が必須である.
・腫瘍マーカーは,悪性リンパ腫における可溶性IL2Rは有用である.扁平上皮癌におけるSCC抗原,CYFRA21-1はいずれも治療前の陽性率が30~60%にとどまる.
◆治療方針
組織型により異なるが,上顎洞扁平上皮癌の治療方針を以下に述べる.
A手術的治療
頭頸部癌診療ガイドライン(2022年版)において,上顎洞扁平上皮癌の治療の第1選択は手術である.T分類により,上顎部分切除術,上顎全摘術,上顎拡大全摘術,頭蓋底手術のいずれかを選択する.N0症例についての予防的頸部郭清術の意義は明確ではない.
B非手術治療
手術によ