頻度 割合みる
GL頭頸部癌診療ガイドライン2022年版
Ⅰ.口腔癌
治療のポイント
・口腔癌の治療は手術が中心である.
◆病態と診断
A病態
・危険因子:喫煙,飲酒,不良歯牙や不適合義歯による慢性刺激,口腔不衛生など.
・亜部位:舌,口腔底,上歯肉,下歯肉,硬口蓋,頬粘膜.
・口腔癌のなかでは舌癌の頻度が最も高い.
B診断
・確定診断は病理組織診断による.大部分が扁平上皮癌である.
・T分類は腫瘍の長径と浸潤の深さ(DOI:depth of invasion)によって決定する.CT,MRI,超音波検査などでDOIを測定する.NおよびM分類はCT,PET-CTなどを用いて評価する.
◆治療方針
小線源治療の適応はstage Ⅰ(T1N0M0)およびstage Ⅱ(T2N0M0)である.しかし,線源供給や実施可能施設の減少により,現在は手術が治療の中心となっている.
T1や腫瘍体積の小さいT2では舌部分切除の適応となる.切除後は一期縫縮やポリグリコール酸(PGA:polyglycolic acid)シートで対応可能である.
腫瘍体積の大きいT2やT3/4症例では舌半切除術,舌(亜)全摘術などが必要となる.また,切除後は皮弁による再建術を行う.
stage Ⅰ/Ⅱ,つまり初診時リンパ節転移なしと診断した症例の30~40%に潜在的リンパ節転移を認める.stage Ⅰ/Ⅱに対する予防的頸部郭清術適応についての結論は出ていない.
■専門医へのコンサルト
・難治性口内炎として治療され,後に舌癌であったと判明する症例も少なくない.難治性口内炎では舌癌の可能性を考慮する.
Ⅱ.中咽頭癌
ニュートピックス
・中咽頭癌に対する経口腔的ロボット支援下手術が2022年に保険適用になった.
治療のポイント
・p16陽性症例の予後は陰性症例より良好だが,p16陽性症例で治療強度を下げるエビデンスは確立していない.
◆病態と診断
A病態
・危険因子