頻度 割合みる(人口10万対10人前後)
GL頭頸部癌診療ガイドライン2022年版
治療のポイント
・喉頭癌は比較的予後良好な疾患であり,いかに音声を温存して治すかが重要である.
・声門上癌は早期から頸部リンパ節転移をきたしやすく,頸部リンパ節転移も含めた治療計画が必要である.
・喉頭全摘術後は永久気管孔が造設され,失声の状態となる.代用のコミュニケーション方法の習得が必要となる.
◆病態と診断
A病態
・喉頭癌は喉頭に発生した癌の総称である.解剖学的な亜部位により多い順に,声門癌,声門上癌,声門下癌に分類される.
・発癌因子としては喫煙の関与が明らかになっている.
・声門癌は嗄声が早期から出現するため,早期発見がされやすい.そのため,喉頭癌のなかでは予後良好である.
・声門上癌は症状が出現しにくく,またリンパ節転移をきたしやすいため,喉頭癌のなかでは予後不良である.
B診断
・喉頭内視鏡検査にて容易に診断はつく.
・内視鏡下生検にて癌が確認されれば確定診断に至る.
・傍声帯間隙浸潤,甲状軟骨浸潤,頸部リンパ節転移などの評価のためには造影CT検査が必要である.
◆治療方針
喉頭癌の治療においては癌の根治は当然のこととして,いかにして音声温存をするかということが非常に重要である.そのような観点から進行度に応じた治療選択がなされるべきである.治療としては手術(内視鏡切除を含む),放射線治療,化学放射線治療の3つがある.
また,日本頭頸部癌学会の「頭頸部癌診療ガイドライン2022年版」も参照されたい.
ATis症例
喉頭微細手術による粘膜切除術が第一選択となる.このようなごく早期の病変に対しては放射線照射を回避することを念頭におく.頸部伸展が難しく喉頭微細手術が困難な場合は,放射線治療も考慮する.
BT1-T2N0症例(早期癌)
喉頭温存を目的に放射線治療を行う.声門癌であれば喉頭のみ,声門上癌であれば両側上内深頸