今日の診療
治療指針

高度難聴(補聴器,人工内耳)
severe to profound hearing loss(hearing aid,cochlear implant)
柿木章伸
(神戸大学大学院特命教授・耳鼻咽喉科頭頸部外科学)

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ニュートピックス

・2021年に植込型骨導補聴器の保険適用が新たに1つ追加された.これまでは2013年に保険適用となったCochlear Bahaシステムのみであったが,メドエル骨導インプラントBONEBRIDGEが追加された.

治療のポイント

・難聴の原因を鑑別することが重要.

・自覚的検査だけでなく,聴力レベルの判定にはABR,ASSR,DPOAEなどの他覚的検査を行う.

・急性発症の感音難聴は,できるだけすみやかに治療を開始する.

・補聴器,人工内耳ともに長所と短所を十分に説明し理解させることが重要.

◆病態と診断

A病態

・2014年,日本聴覚医学会が難聴(聴覚障害)の程度分類について報告した.平均聴力レベルは純音聴力検査の〔(500Hz+1,000Hz+2,000Hz+4,000Hz)/4〕の聴力レベルから算出する4分法を用いる.高度難聴は70dB以上90dB未満で,非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない.しかし,聞こえても聞き取りには限界がある.重度難聴は90dB以上で,補聴器でも聞き取れないことが多い.人工内耳の装用が考慮される.

・一般的には人口の約5%が高度難聴者とされている.

・高度難聴はその原因により伝音難聴,感音難聴,混合性難聴に分類される.

・伝音難聴は外耳道,鼓膜,耳小骨,中耳に,感音難聴は内耳あるいは聴神経などの中枢聴覚路に障害を認める難聴で,混合性難聴は伝音難聴と感音難聴の両方の要素を含んだ難聴である.

B診断

・純音聴力検査で難聴の種類,程度を診断する.

・年齢や発達の程度により自覚的検査が行えない場合は,状態に応じて遊戯聴力検査や条件詮索反応聴力検査を行う.

・聴性脳幹反応検査(ABR:auditory brainstem response),聴性定常反応検査(ASSR:auditory steady-state response),耳音響放射

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