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治療のポイント
・唾液腺腫脹はあらゆる大・小唾液腺に起こり,その原因疾患も多岐にわたる.
・急性化膿性唾液腺炎や反復性耳下腺炎(細菌感染を伴う場合)では抗菌薬の投与を行う.
・ムンプスでは対症療法を行い,合併症の発生に注意する.
・腫瘍性疾患では手術が第1選択となる.
Ⅰ.炎症性疾患
◆病態と診断
A病態
・急性炎症として急性化膿性唾液腺炎(耳下腺炎・顎下腺炎)があり,唾液腺管からの逆行性感染により生じる.起炎菌は黄色ブドウ球菌が多い.急性化膿性顎下腺炎ではしばしば唾石を伴い,唾石症と呼ばれる.
・ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎は15歳未満の小児に好発する.唾液の飛沫感染によって伝播し,2~3週間の潜伏期間ののち,唾液腺の腫脹,発熱で発症する.
・反復性耳下腺炎は小児期(主に1~6歳)に片側もしくは両側の耳下腺腫脹を反復する疾患である.詳細は不明であるが,粘液栓による唾液の停留が原因と考え