今日の診療
治療指針

齲蝕,歯髄炎
dental caries and pulpitis
鈴木俊夫
(鈴木歯科医院・院長(名古屋市守山区))

GLう蝕治療ガイドライン 第2版 詳細版(2015)

Ⅰ.齲蝕

A原因

 齲蝕は,口腔内の常在菌で歯牙の灰分が溶け出すことをいう.

 原因は,ミュータンス菌などの口腔内細菌が食物を栄養源として代謝し,糊状のプラークを形成して歯面に付着.そのなかで副産物として酸を産生し,カルシウムが溶出することに起因する.ほかに,飲み物や食べ物で酸が多い物を多く摂取して歯が溶けることや,嘔吐を繰り返す人で胃酸により歯が脱灰されること,また,メッキ工場などの産業現場で歯が脱灰されることとは,酸によるカルシウムが溶出する症状が異なる.

B症状

1)歯の色が不透明や白,茶色になる.

2)歯が欠ける.

3)自発痛が出る.

4)冷水がしみる.熱い物がしみる(この場合は要注意).

5)詰め物が外れる など.

C予防

 食べ物の内容や摂取する時間に留意することや器械的にプラークを除去することが基本となる.使用する器具は,歯ブラシ,糸ようじ,スポンジブラシ,ガーゼ,脱脂綿などで,使用目的や使用される人の症状や全身的な状態や理解力などにより異なる.

 高齢社会の到来により,予防に対する取り組みも変化してきた.

 さらに,歯並びや自浄作用の有無によりプラークの除去が難しいことがあるので,定期的な処置や指導が不可欠となる.また,齲蝕の初期症状は,自覚することが難しい場合が多いので,気が付いたときには,進行していることが多い.

D診断

 基本は,視診,触診,自覚症状などで,ほかに強い光による視診,X線検査,CT撮影検査,レザー照射による検査,などがある.

E病名

 C0:エナメル質の表面が白く脱灰が始まりかけている状態.

 C1:脱灰がエナメル質に留まっている状態.

 C2:さらに進行し,象牙質にまで到達した状態.

 C3:そして,歯髄にまで,脱灰が進行した状態.

 C4:最後に,歯髄が死滅して,歯冠が崩壊し歯根だけの状態.

F治療

 C0:歯面清掃,フッ素塗布

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