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治療指針

歯の欠損と補綴,インプラント
prosthetics and dental implants for tooth loss
内堀典保
(愛知県歯科医師会・会長)

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GL歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン2008

GL歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン追補版(2012)

ニュートピックス

・2021年9月より,磁性アタッチメントが保険適用された.

・多数歯(9歯以上)欠損症例において残存する少数歯,遊離端欠損症例について欠損に隣在する歯の支台装置に適用することは義歯の維持・審美性・快適性などの点で有効である.

・ただし,MRI撮影時,①MRI装置の磁場による力学的影響(偏向力),②MRI装置の発熱による温度上昇の影響,③キーパーアーチファクトによる診断への影響などに注意を要する.

◆病態と診断

A病態

・欠損を生じた歯列を「病期」と「病型」という2つの方向から把握する必要があり,日本補綴歯科学会では「症型分類」を提唱している.

・歯列中に歯の先天性欠如・後天的欠損・喪失をみとめる状態で,後天的欠損の原因として歯周炎,齲蝕,外傷などがある.歯牙の喪失に伴い,咀嚼障害,構音障害,審美障害などの1次障害(機能障害)が生じ,放置することで2次障害(歯列に生じる変化),3次障害(咬合位の変化の増悪),さらには全身的な異常症状を呈することがある.

B診断(病名)

・患者に生じている「障害」を病名の基本とし,これを引き起こしている「要因」を併記して病名とすることを日本歯科補綴学会では推奨している.

◆治療方針

 補綴歯科診療を必要とする原因と問題点を分析するとともに,エビデンス,患者側の要件,歯科医師側・医療資源の要件を多軸で評価し,患者への十分なインフォームド・コンセントのうえ,決定することが重要となる.

A従来法(インプラントを用いない方法)

1.固定性補綴装置:ブリッジ

 1歯ないし数歯が欠損している場合に,残存歯の歯冠または歯根に結合して維持を求めるとともに義歯に加わる機能圧を全面的に残存歯で支持するよう設計,製作された補綴装置をいう.

 後述の有床義歯と比較し

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