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治療のポイント
・原因を探ることが重要である.
・鼻閉による口呼吸やいびきの有無,要介護患者では顎関節脱臼の有無を確認し,原因の除去とまずはマスクの使用を開始する.
・代謝性障害,発熱や胸水・腹水貯留の有無,尿量や尿比重から脱水の有無を確認し,飲水や補液量を調整する.
・シェーグレン症候群では唾液分泌促進薬を使用する.
◆病態と診断
A病態
・口腔乾燥症とは自覚的な口腔乾燥感または他覚的な口腔乾燥所見を認める症候を指す.
・原因には循環体液量の減少,唾液腺障害,分泌刺激や神経伝導系障害,口腔からの蒸発過多がある.
・唾液腺障害はシェーグレン症候群,がん薬物療法や頭頸部領域への放射線照射などが原因となる.
・分泌刺激や神経伝導系障害では薬剤,精神疾患,脳神経疾患,ストレスや更年期などが原因となる.
B診断
・ガムテスト,サクソンテストによる刺激時唾液分泌量や安静時唾液量の測定を行う.唾液分泌量減少の目安はガムテストでは10mL/10分以下,サクソンテストでは2g/2分以下,安静時唾液量では1.5mL/15分以下と考えるのが一般的である.
・唾液腺障害,分泌刺激や神経伝導系障害,脱水,開口の有無を確認する.
・唾液分泌量の測定ができない場合には口腔湿潤計ムーカスを用いる.
◆治療方針
原因の除去を第1に考えるが,実際には対症療法となることが多い.また,治療目標は自他覚的口腔乾燥症状の改善となる.
A口腔からの蒸発過多への対応
多くは咀嚼筋の筋力低下に伴う開口が原因であるが,顎関節脱臼を生じている場合も少なくない.室内の加湿とマスクの使用が基本である.習慣性顎関節脱臼患者に対しては専用のオトガイ帽(チンキャップ)も販売されている.
B唾液分泌量の減少への対応
原因除去の可能性を主治医と相談し,できない場合にはジェルタイプの保湿薬を使用する.嚥下機能に問題がなければ各種含嗽薬や人工唾液,スプレータイプ