口腔習癖とは,普段の生活のなかで無意識に行っている口腔の習慣的な動き(癖)を指す.
口腔習癖には,歯列形態や機能的発達を妨げるような悪習癖とよばれるものがある.成長発育期にある小児では,口腔の形態的,機能的発達に障害を及ぼすことが多い.その原因は,口にとどまらず,小児の性格や心理とも関連しており,乳幼児の行動が残っている場合もあるので,悪習癖を改善させるように躾をする必要がある.
A口腔習癖の種類
口腔習癖は,乳児期や幼児期から確認され,学童期,場合によっては,成人になっても認められることがあるため,歯列や口腔周囲筋,顎骨に長期にわたり影響を与えることがある.
1.吸指癖
指をくわえて,吸うような動作を示す.拇指(親指)を吸う場合が多い.乳児期までは生理的なものと考えられているが,幼児期を過ぎても吸指癖がある場合は,精神的緊張や欲求不満などがあると考えられている.この影響で,歯並びに影響が出て,上顎歯列が狭くなる「歯列狭窄」や上顎全前歯が前に突出してくる「上顎前突・出っ歯」や咬んだときに上下の前歯がかみ合わない「開咬症」になることがある.
2.咬唇癖・吸唇癖
唇を歯で噛む癖で,上顎前歯の裏側で下唇を噛む癖で,上下の歯の間に唇が入ることで,上の歯が前方に傾斜し,下の歯が内側に傾斜して「上顎前突・出っ歯」や「過蓋咬合・噛み合わせが深くなる」になることがある.
3.舌突出癖・弄舌癖
舌を突き出す癖で,舌が前歯を押すことで「上顎前突・出っ歯」「交叉咬合・奥歯のすれ違い」や「開咬」の原因になる.また,このような舌癖があると滑舌が悪くなり,発音にも影響がでてくる.
4.咬爪癖
爪を噛む癖で,「開咬」を引き起こす可能性がある.
5.口呼吸
口腔習癖としての口呼吸は,習癖の指導で改善することがあるが,花粉症,アレルギー性鼻炎,副鼻腔炎などの鼻疾患により鼻呼吸が困難になり口呼吸になる場合には,耳鼻科で