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治療のポイント
・患者の愁訴を傾聴し,不安を取り除く.
・舌に腫瘍など器質的異常がないことを確認する.
◆病態と診断
A病態
・原因は不明で,臨床的に明らかな病変を認めず,疼痛が唯一の症状である.
・疼痛は表在性で,出現部位は舌前方2/3で舌尖,舌辺縁.
・患者は主に50歳代以降の女性で,若年者はまれ.
・ピリピリした痛み,灼熱感,しびれが持続的に起こる.
・睡眠中に舌の疼痛により覚醒することはない.
・日内変動があり,食事,会話時に少なく,安静時に多い.
・疼痛部位が移動する,複数になることがある.
・不安,不快な出来事,ストレスが疼痛を助長する.
B診断
・十分に視診,触診を行い,腫瘍の有無,びらん,潰瘍,白斑,アフタのないことを確認する.
・口腔カンジダの検査を行い,歯科補綴物による刺激がないこと,常用薬などによる副作用のないことを確認する.
・疼痛の原因となる器質的異常を除外し,上記の如き特徴的な疼痛が持続する場合に舌痛症と診断する.
◆治療方針
発症から受診までの期間が短いものほど予後がよい.
A精神療法
患者の訴えに対し,傾聴,受容,共感を行い,舌癌ではないこと,進行性病変でなく,珍しい疾患ではないことを丁寧に説明し,カウンセリングにより,悲観的な考えや不安を取り除いていく.
B薬物療法
1.漢方薬
症状の改善を認めない場合,漫然とした長期間の処方を避ける.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
2.抗うつ薬
うつ病を疑う場合には,心療内科,精神科など向精神薬使用に精通した診療科へ対診する.
Px処方例
アミトリプチリン(トリプタノール薬)錠(10mg) 1回1錠 1日1回 夕食後保外
検査結果から,舌に疼痛原因となる器質的な異常がないことを紹介状に記載し