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治療指針
在宅

ポリファーマシーへの対策
reducing polypharmacy
村山慎一
(あおぞら診療所(千葉))

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治療のポイント

・高齢者の薬物有害事象増加は,薬物動態の加齢変化と多剤服用が2大要因である.多剤服用のなかで害をなすものはポリファーマシーと呼称される.

・PIMs(potentially inappropriate medications)は特に慎重な投与を要する薬剤で,高齢者でエビデンスが不十分で,効果が小さく,薬物有害事象の危険性が高い.日本の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」,米国のBeers Criteria,欧州のSTOPP/START criteriaに詳細が記載されている.

◆病態と診断

・国際的な文献では5種類以上の薬剤服用をpolypharmacy,10種類以上をsuper polypharmacyとしている.日本における報告では6種類以上において有意に有害事象が生じるとされており,これが1つの基準となっている.

・ポリファーマシーは単に薬剤数の問題だけでなく,薬物有害事象の増加,アドヒアランス不良など多剤に伴う諸問題のほか,不要な処方,あるいは必要な薬が処方されない,過量・重複投与など薬剤のあらゆる問題を含む.

◆治療方針

A処方の見直し

 処方見直しの機会は,ポリファーマシーの害に気づいたときであるが,医療機関の初診時・在宅医療への移行時・療養環境の変化・入院時がよい介入のタイミングである.

 対策を行う際は,薬物有害事象の有無,アドヒアランス不良,服薬困難,PIMs使用,同効薬の重複,腎機能低下,低栄養,薬物相互作用,処方意図の不明薬などの問題点をまず確認する.また,具体的な減薬手順は以下が推奨されている.

1)推奨される使用法の範囲内か

2)効果はあるか

3)減量・中止は可能か

4)代替薬はないか

5)治療歴における有効性と副作用の検証

6)最も有効な薬物の再検討

1.訪問診療

 手順に基づき対策を進めると処方は整理されシンプルになる.内服管理がしやすく

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