今日の診療
治療指針
在宅

輸液療法(皮下輸液,IVH,薬剤投与を含む)
infusion therapy in home medical care
吉田 伸
(頴田病院・家庭医療センター長(福岡))

GL静脈経腸栄養ガイドライン 第3版(2013)

GL終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン 2013年版

治療のポイント

・輸液療法の目的には,①体液管理,②栄養管理,③血管確保があり,在宅医療では投与経路として末梢静脈,中心静脈,皮下輸液(hypodermoclysis)が用いられる.

・経静脈輸液では,予後1か月以内と見込まれる場合は過剰な栄養や輸液に注意する.

・皮下輸液は有害事象の少なさや手技の簡便さから在宅医療で普及している.投与可能な輸液や注射薬を把握しておくとよい.

◆病態と診断

A低栄養

・在宅栄養療法のうち,在宅経腸栄養法(HEN:home enteral nutrition)と対をなす概念として在宅静脈栄養法(HPN:home parenteral nutrition)という概念がある.

・脳血管疾患による嚥下機能障害では,基本的にHENを検討する.

・HPNは,消化管が機能しない病態が適応となるが,クローン病や短腸症候群などの良性疾患では年余にわたる管理となり,喉頭癌・食道癌・胃癌・膵癌・大腸癌といった消化管狭窄を伴う悪性腫瘍の場合は数か月の管理となることが多い.

・栄養療法のモニタリングとして,体重測定や身体計測を毎回行い,状態が安定していれば血液生化学検査(血清Alb値,血清TG値,肝機能,腎機能,電解質など)は3か月ごとに,ビタミンB1 や微量元素(鉄,銅,亜鉛,セレンなど)は年1回確認する.

B脱水症

・慢性の経過としては,基礎疾患の進行による飲水障害や腸管吸収の低下がある.

・環境評価も必要で,特に独居の高齢患者などでは,飲料の準備ができているか,飲水を忘れていないか,冷房がなく熱中症のリスクがないかを確認する.

・急性経過の脱水では,感染症(上気道炎,腸炎,敗血症),便秘や疼痛,薬物の影響(利尿薬,抗コリン薬,睡眠薬,向精神薬など)によるものを鑑別する.

C感染症

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