今日の診療
治療指針
在宅

悪性腫瘍患者指導管理(PCAポンプを含む)
patient controlled analgesia
荘司輝昭
(立川在宅ケアクリニック・院長(東京))

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治療のポイント

・進行性悪性腫瘍患者は疼痛コントロールなどにおいてオピオイド製剤投与の対象となることが多く,その投与法として経口剤,坐薬,貼付剤などとともに皮下・静脈内持続注射が推奨されている.さらにはPCA機能を有する持続注入ポンプ併用の持続注射が在宅医療現場でも用いられている.特にがん終末期において消化管閉塞や悪心・嘔吐,悪液質による嚥下困難など経口ルートが困難となった場合に用いることが多い.

◆病態と診断

・がん終末期には癌性疼痛だけでなく四肢のしびれ,倦怠感,呼吸困難,腹部膨満,嘔吐,便秘,浮腫,不眠,意識混濁,悪液質などさまざまな病態が現れる.

・症状の原因についてはがん進行によるものがほとんどであり,個別症状に対しての経口薬,医療用麻薬や鎮痛補助薬などを用いた症状緩和が求められている.

◆治療方針

A症状緩和のための処方

 経口薬を使用できる時期にはなるべく多剤にならないように注意して処方を行う.オピオイド製剤使用開始時には麻薬への誤解を十分な説明のもとそのメリットを説明するとともに,便秘,嘔気,眠気,混乱などの副作用も説明してその予防薬投与も考慮する.このとき,突出痛に対してもレスキュー薬(頓用薬)の使用を説明し,自身あるいは家族にその使用歴を記録してもらい,おおむね1日3回以上使用する場合には定期使用のオピオイド製剤の増量やほかの種類のオピオイド製剤への変更も考慮する.その評価にあたっては在宅主治医だけでなく訪問看護師や家族の意見を参考に判断することが望ましい.また経口オピオイド製剤の使用が困難となった場合,貼付剤,注射薬への変更も考慮する.

B注射薬による鎮痛療法

 鎮痛療法とは,ブプレノルフィン,モルヒネ,フェンタニルクエン酸塩,複方オキシコドン,オキシコドン,フルルビプロフェンアキセチルまたはヒドロモルフォンを注射または携帯型ディスポーザブル注入ポンプもし

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