ポイント
・在宅ケアには多施設間多職種連携が必要で,医療部分は在宅医と訪問看護師の一体的提供(チームケア)が望ましい.
・訪問看護師は在宅ケアの鍵となる職種であり,医療介護連携のハブ機能を果たすとともに24時間対応のファーストコールをも担う.
・ケアチームとして機能するためにチーム内での情報共有とその過程を重視した意思決定が必要である.
・在宅医は訪問看護師がその役割を果たしやすいように対応していくことが重要である.
A訪問看護師の役割は幅広い
在宅医療は患者・家族の自宅での療養生活を支えるために必要な在宅ケアの一部分である.在宅ケアには患者・介護者を中心に在宅医・訪問看護師・ケアマネジャー・ヘルパー・薬剤師・各種療法士・栄養士・医療機器ベンダーなどの多施設間多職種連携が必要となる.また居宅内のみではなく,病院をはじめ地域の医療介護関連施設による支えも欠かせない.訪問看護師は医療から介護にわたる幅広い部分を担っており,在宅ケアの鍵になる職種といえる.
B在宅医から期待される訪問看護の役割
在宅ケア,在宅医療を多職種連携(チームケア)として行うなかでの医師の役割として,主治医として診療を行い,それに基づき必要な医療的対応,医療的見通しを患者家族とケアチームに提供し,患者家族とチームの意思決定につなげることが大切である.どういう見通しをもって,どのような医療を行うのかは,患者家族のQOLやケアチームの動きに深く関わる.日常診療の限られた時間のなかで,医師がすべての医療行為の提供や,その結果をモニタリングしたり,意思決定支援につながるさまざまな情報を得ること,日常業務で起こる多職種からの医療への連絡や要望に応じていくことは困難である.また,看取りへの確実な対応や医療依存度の高い患者に在宅対応するためには24時間対応が必要となるが,これも医師のみがファーストコールの窓口となるのは困難である.こ