今日の診療
治療指針
在宅

薬剤師との協働
collaboration with pharmacist
星野大和
(ほしの在宅ケアクリニック・院長(千葉))

A訪問薬剤管理指導の必要性

 在宅医療の対象者の多くは,多疾病が併存する,認知機能や身体機能が低下した高齢者である.前者のために薬剤が多くなったり(ポリファーマシー),後者のために内服アドヒアランスが低下したりする.また独居や認知症の要介護者を認知症の介護者がみている世帯などの環境要因も付加されるとアドヒアランスはさらに低下する.

 訪問薬剤管理指導の本質的な役割は,ただ単に薬局まで赴くことができない患者に処方薬を届けることではなく,患者の生活の場に入りこれらの問題に取り組むことである.

B具体的な協働

1.処方箋の共有

 調剤にあたり処方箋の内容を薬局に送る必要がある.処方箋を患者や家族が薬局にFAXできるケースは少なく,診療時に患家で処方箋を2部発行し1部を自宅に(薬剤師が原本として回収する),もう1部を医療機関に持ち帰り薬局にFAXする方法がある.診療後に医療機関で処方箋を発行する場合は,FAX後に原本を薬局に郵送する方法がある.後述するICTを用いると簡便かつ迅速に処方内容を共有できる.

2.処方変更の共有

 定時薬を変更,定時薬以外の薬剤を処方したときは,処方の理由となった病態変化を含め薬局に情報共有を行う.すぐに変更したいときや内服させたい場合は電話で伝え,急がない場合は処方箋の備考欄に記載する.

3.服薬指導

 現在の病態とそれに対する処方について,患者への説明内容とその理解の程度を訪問薬剤師に共有することで,訪問薬剤師は医師の説明と相違なくかつ患者の理解度に応じてスムーズに服薬指導ができる.特に麻薬を処方したときには,副作用の予防策や対応策を医師と訪問薬剤師から説明すると,麻薬内服への不安が軽減しアドヒアランスが向上する.

4.内服管理

 内服状況を把握するため,定時薬を一包化したうえで薬包に日付を入れ,その薬包を服薬カレンダーに配薬する(頓服薬は誤薬を防ぐため別に管理する).し

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