今日の診療
治療指針
在宅

診診連携
home care collaboration
福地康紀
(東新田福地診療院・院長(静岡))

 後期高齢者の増加,地域医療構想による病床再編に加え,ACP(advance care planning)の普及・啓発が進むことにより,施設在宅も含めた在宅医療ならびに在宅看取りを望む声が,今後さらに増加することが予想される.一方で,働き方改革の推進への対応も迫られ,24時間対応を求められる在宅医療提供体制における人員体制の見直しが必要となってくると思われる.このような状勢に対して,患者のみならず医師側も安心して確実に看取りまでの在宅医療を行える1つの手段として,診診連携は有用である.しかし,その連携体制を順調に運用するためには,構築するにあたりいくつかのポイントを押さえておく必要がある.

A在宅医療における診診連携システムの構築を主導する発起人

 在宅医療を行っている複数の診療所同士が集まって連携のルールを取り決める有志主導による構築と,医師会が主体となって連携のルールを取り決め,在宅医療を行っている診療所を募る医師会主導による構築が考えられる.前者はそれぞれのニーズに特化した体制作りや迅速性や融通性に利点があるが,公平性や平等性などの担保,普遍性や地域全体への進展に不安が残る.後者は事業として行うため,公平性や平等性に配慮し,公益性や普遍性には問題ないと思われるが,最大公約数的ルール作りの結果融通が利きにくくなり,参加価値を見出せない診療所も出てくる可能性がある.

B参画する医療機関の規模

 有志主導による構築は,通常1桁の診療所の集まりによる連携が大半で,20以上にも及ぶ大規模参画による連携システムの構築は考えにくい.一方,医師会主導の場合は医師会事業として行うために,大規模参画も想定した構築が求められる.この場合,以下の対応が考えられる.

1)共通の連携ルールのもと,希望するすべての診療所が集まった連携グループを構築する

2)診療所をいくつかの地域ごとに,もしくは分割ルールの基

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?