今日の診療
治療指針

Ⅰ.配合剤の種類による皮膚外用薬の分類
飯塚 一
(廣仁会札幌乾癬研究所所長)


1.副腎皮質ステロイド外用薬

 副腎皮質ステロイド外用薬はその強い抗炎症作用のため,炎症性皮膚疾患に広く用いられる.剤形も軟膏,クリーム,ゲル,ローションなどさまざまなものが存在する.現在,副腎皮質ステロイド外用薬の薬効は血管収縮指数および臨床効果をあわせて評価され,ウィーク,ミディアム,ストロング,ベリーストロング,ストロンゲストの5段階に分類される(表1).

 副腎皮質ステロイド外用薬は安易に使用されがちであるが,きわめて薬効の強い製剤を長期に使用した場合,局所皮膚に対する種々の副作用をきたす可能性がある(表2).あるいは広範囲に長期間使用した場合,全身的副作用も起こりうる.したがって,副腎皮質ステロイド外用薬を使用する場合は,その薬効の程度をよく認識し,副作用に注意して使用する.

 近年,減少傾向にはあるが,副腎皮質ステロイド外用薬の副作用に対し過剰な恐怖感をもち,使用を拒否する患者が存在する.これらの患者は高額かつ根拠のない民間療法に走ったり,一部医師による特殊治療により,むしろ悪化させる不適切治療が問題になっている.副腎皮質ステロイド外用薬が,優れた抗炎症効果を有する薬剤であることは,依然として正しいわけであり,使用すべき患者に対しては使用をためらうべきではない.要は使い方の問題であって,患者に対し,いたずらに恐怖感をあおるような言動は厳に慎むべきである.

1)副腎皮質ステロイド外用薬の基剤による種類

a)軟膏:刺激性が弱く,湿潤した病巣でも乾燥面でも幅広く用いられる.乾燥病変では単純塗布,湿潤病変では単純塗布のほか,ガーゼにのばして貼付する.

b)クリーム:刺激性があり,びらん面には適応でないが,べとつかず特に夏場では好んで使用される.ただし軟膏と比べ,混在する界面活性剤などによる接触皮膚炎の可能性は高くなる.

c)ローション:主として被髪頭部に使用される.アルコール性基

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?