今日の診療
治療指針

3.消化器疾患
丁 宗鐵
(日本薬科大学教授・学長)
菊谷健彦
(東戸塚記念病院・麻酔科部長)


‍ 食欲不振,悪心・嘔吐 乗り物酔い,二日酔いなどの場合,五苓散,半夏厚朴湯,二陳湯,黄連解毒湯などが用いられる.

‍ 慢性下痢,過敏性腸症候群 本症には漢方治療が適している.桂枝加芍薬湯,桂枝加芍薬大黄湯,小建中湯,大建中湯,加味逍遙散,当帰湯,当帰建中湯,黄耆建中湯,真武湯,人参湯,啓脾湯などが用いられる.

 鼓腸が激しいときには,大建中湯,柴朴湯,安中散などが,水様便の場合には真武湯,柴苓湯,胃苓湯がそれぞれ適している.

‍ 慢性便秘症 本症の漢方治療には大黄含有製剤が用いられる.大黄甘草湯が第1選択となる.

‍ 口内炎 急性症状に対しては甘草湯,黄連解毒湯が用いられる.

‍ 咽喉頭異常感症 気滞と考えられ,半夏厚朴湯,柴朴湯,茯苓飲合半夏厚朴湯,香蘇散の内服が行われる.

‍ 口渇,口乾 漢方では口渇と口乾を分けている.口渇はのどが乾いて,水分を多くとることを指し,通常実証体質者にみられる.したがって,多くの場合冷たい水を欲する.これに反して,口乾はのどが乾くが,水は湿す程度に飲むことを指す.口乾は虚証体質者にみられる.

 白虎加人参湯は発熱とともに口渇がはなはだしいものに用いる.糖尿病,皮膚炎にも用いられる.

 口乾には柴胡桂枝乾姜湯,麦門冬湯,八味地黄丸などがよい.

‍ 口腔内愁訴,口腔異常感症 口臭,口腔内違和感,味覚異常,嗅覚障害,口が粘る,渋い,にがい,痛いなどの訴えに対しては,向精神薬を選択する前に漢方を試みる価値がある.

‍ 逆流性食道炎 茯苓飲,半夏厚朴湯,六君子湯,安中散,半夏瀉心湯などが選ばれる.

‍ 急性胃炎 悪心に対しては五苓散,小半夏加茯苓湯が用いられる.心窩部痛が強い場合には,半夏瀉心湯,黄連湯,安中散,柴胡桂枝湯,芍薬甘草湯が用いられる.特に芍薬甘草湯は頓服として

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