今日の診療
治療指針
小児

10.小児疾患
丁 宗鐵
(日本薬科大学教授・学長)
菊谷健彦
(東戸塚記念病院・麻酔科部長)


 小児使用量は成人用量を1とした場合,下記の量が標準とされている.

 15歳未満7歳以上:成人用量の2/3

 7歳未満4歳以上:成人用量の1/2

 4歳未満2歳以上:成人用量の1/3

 2歳未満:成人用量の1/4

 体質に合っていると苦い漢方薬でも服用できる.しかし漢方薬の味によっては服用しづらい場合がある.適宜ゼリーなどに混合して投与するなどの工夫が必要である.

‍ には小児に特に応用されることの多い漢方薬を挙げた.詳しくは各項目を参照のこと.

‍ 乳幼児下痢症 下痢には,桂枝加芍薬湯,半夏瀉心湯,柴苓湯,胃苓湯,啓脾湯などが用いられる.

 嘔吐と下痢がある場合には,柴苓湯,胃苓湯,五苓散などが用いられる.

‍ 小児夜啼症 抑肝散,抑肝散加陳皮半夏,柴胡加竜骨牡蛎湯,甘麦大棗湯などが用いられる.

‍ 起立性調節障害 立ちくらみ,めまい,動悸などの循環器症状が強い場合には,半夏白朮天麻湯,柴胡加竜骨牡蛎湯,当帰芍薬散,苓桂朮甘湯,苓桂朮甘湯合四物湯(連珠飲)などから処方が選ばれる.

 小建中湯,小柴胡湯,柴胡桂枝湯などで体力の増進をはかることも治療に通じる.

‍ 夜尿症 柴胡桂枝湯は神経質で胸脇苦満と腹直筋の緊張を伴う場合に有効なことがある.葛根湯は体力充実者,苓姜朮甘湯は冷え症,小建中湯は虚弱者,白虎加人参湯は口渇の激しいもの,六味丸は膀胱機能の十分発達していないものにそれぞれ用いられる.

‍ 反復性臍疝痛 小建中湯,桂枝加芍薬湯,柴胡桂枝湯,当帰建中湯,黄耆建中湯などが頻用される.これを服用していると胃腸が丈夫になり,胃腸虚弱が改善する.特に小建中湯は甘味があって用いやすい.

‍ 水痘 漢方では水疱を水毒としてとらえ,初期には発表剤の升麻葛根湯,葛根湯,利水剤の五苓散などが用いられる.また,中期から後期には,十味敗毒湯,桂枝加

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