1)2剤併用と構成生薬
漢方製剤は2剤までは併用することがある.ただし,構成生薬が重なる場合には注意が必要である.
重ならない場合(肝疾患)
重なる場合(気管支喘息)
2)生薬末の併用
人参末薬,サフラン末,天麻末,大黄末,桂皮末など,多数の生薬末が保険薬価に収載されている.漢方製剤に種々の生薬末を併用する目的は漢方治療の効果を高めるためである.
癌の術後:補中益気湯薬 5.0g,人参末薬 2.0g(分2 食前内服)
便秘を伴う更年期障害:加味逍遙散薬 5.0g,大黄末 0.4g(分2 食前内服)
めまい:苓桂朮甘湯薬 5.0g,天麻末 2.0g(分2 食前内服)
腎炎:越婢加朮湯薬 5.0g,黄耆末 3.0g(分2)
不眠を伴う認知症:抑肝散薬 5.0g,遠志末 3.0g(分2)
アレルギー性鼻炎:小青竜湯薬 5.0g,麻黄末 3.0g(分2)
(その他の末は図を参照のこと)
3)生薬(湯液)による治療(表図参照)
大部分の漢方薬は保険薬価に収載されている生薬を組み合わせることにより調剤することが可能である.保険で使える漢方用生薬と処方せん例を示す(図と図).
(1)湯液(煎じ薬)の利点と欠点
漢方処方の構成生薬の分量を増減することにより漢方の目指すオーダーメイドの治療ができる.合方する際に両方の漢方薬に共通する生薬は量の多い一方の処方の量を踏襲するので,特に甘草のような頻用生薬の分量が増え過ぎることはない.
なお湯液の効果は用いられる生薬の品質に左右されるので,湯液であればエキス剤より効くというわけではない.
(2)保険診療における煎じ薬の現状
保険診療における煎じ薬の問題点は,調剤の煩雑さに比較して低く据え置かれた薬価により医療経済として成り立っていない現状で,院内処方,院外処方を問わず医療経営を圧迫し
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