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治療指針

13.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版



作成グループ

 日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版作成委員会(委員長:岡村智教)

作成時期

 旧称「高脂血症診療ガイドライン」初版として1997年に発行されてから,5度目の改訂版として2022年7月に出版された.最近は5年ごとに改訂されている.


準拠したエビデンスの分類,勧告,推奨の分類など

 動脈硬化性疾患は歴史的に,疫学研究,臨床試験とも比較的豊富なエビデンスに恵まれてきた.本ガイドラインはその旧称が示すように,脂質異常症が重要テーマではあるが,現在は動脈硬化性疾患の「予防」ガイドラインとして,血清脂質以外のリスク因子やメタボリックシンドロームを始め,食事,運動,喫煙など生活習慣も含む包括的リスク因子管理による一次・二次予防を目的としている.

 従来,健常者に対する相対リスクで評価していた心血管イベントリスクを,2012年版からは絶対リスクに変更したが,そのための評価スコアもこれまで使われてきた「NIPPON DATA80」や「吹田研究」のものに代わり,2022年版では「久山町研究」のものを,本ガイドライン用に修正し採用した(図1).本スコアは,冠動脈疾患のみならず,動脈硬化と関連が深いアテローム血栓性脳梗塞もアウトカムとしているため,脳梗塞が多い日本人の実態により即したものになった.

 脂質検査項目としては,LDLコレステロール(LDL-C)がリスク評価の中心であることについては一貫しているが,前版からはNon-HDLコレステロール(Non-HDL-C)も診断基準に取り入れられた.Non-HDL-Cは,トリグリセライド(TG)を含む動脈硬化惹起性リポ蛋白を包含した指標であり,算出も容易で(総コレステロール-HDLコレステロール),食事にも影響されないことから,午後の外来など非空腹時採血でも使いやすい.一方,TGはこれまで空腹時採血値で評価されていたが,今

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